長野原・吾妻渓谷の緑

 天気予報は雨だったが、同行した自称「晴れ男」のおかげか、ギリギリで天気はもってくれた。

 遊びに行った、あるいは、撮影のために行った、と言えれば良かったのだがさにあらず。お仕事で長野原町へ赴き、ガイドさんの話を聞きながら、合間にスナップをしたというのがほんとのところ。だから、撮影枚数も少なく、コンデジでの撮影となったのだった。

 長野原町と言えば、八ツ場ダムの建設を巡って翻弄されている自治体であり、吾妻渓谷はまさにその舞台である。

 写真を撮った辺りを少し上流に行くと、本体工事の予定地がある。その場所から上はダムに沈むかもしれない。八ツ場ダムの建設をめぐるたたかいは半世紀以上にわたり、地元の住民は、ある人は代替地へ居を構え、ある人は町を出て行く。

 地滑りが激しく、ダムを造ったところでまともに使える日が来るのかどうかすらあやしいダム。政争のネタにされ、翻弄された住民たち。美しい景観も、ダムの本体が作られれば台無しになること間違いなし。

 「ダムが完成したら水上バスで景観を楽しむ」計画だというが、もし、ダムができたら、綺麗ではない水の上を走る水上バス。周りを見回すと、山肌の至る所に地滑り防止のコンクリートとアンカーの数々。ああ、失敗が目に浮かぶ。

 町おこしをするなら、ダムとは別にやった方が絶対にうまく行くと思う。「7割できた」というのは、「予算の7割を使った」ということであって、ダム本体の予算は全体の1割に満たないという。本体工事をしなければ、これまでの道路や鉄道を観光資源として利用すれば良いのではないか。

 なんてことを考えながら、この日を過ごしたのだった。