安中・中山道を歩く

 天気は曇ったりうっすら晴れたり。期せずして「中山道シリーズ」になってしまいそうな感もあるが、この街道沿いは車でもよく通る割には車を止めておく場所を思いつかずにいて、なかなか撮影にこぎつけずにいた。街道そのものが古いものだから、当たり前と言えば当たり前か。

 高崎・豊岡方面から安中・板鼻宿を通って、安中宿へ。といっても、私はそばを通っている国道18号を車で走って、一気に安中宿まで行ってしまうのだが。

 「安中って、何があるところですか?」と、以前訊かれて、私が最初に答えたのは、「日本最古のマラソンレースが行われたところです」というものだった。江戸時代に「遠足(「とおあし」と読む)」と呼ばれるマラソンレース...といっても、武士の軍事訓練みたいなものだったようだが(以前、NHKの歴史番組で扱われたことがあった)、今では観光のとりくみとして毎年行われている。さまざまな仮装をしたランナーでにぎわう行事のようだ。

 中山道・安中宿には、一部に杉並木が残っている。立派な杉が数本並んでいる他は、新たに植えられた背の低い杉ばかりだ。残っている数本の杉も、落雷などで傷んでいる。地元の人の話に寄れば、数十年前まではもっと残っていたらしいのだが、ずいぶん抜かれてしまったのだそうだ。今残っている杉も、あとどれくらいとどめていられるかはわからないのだとか。よく見ると空洞になった幹にコンクリートが盛られて支えられているものもあった。花粉症には、この季節の杉は憎らしいかもしれないが、歴史を感じさせる街道は、狭い道ながら、今も車の往来が激しい。

 板鼻宿からは少しずつ上り坂になる。中山道も緩やかな上り坂。この街道沿いには古い土蔵がずいぶん残っていて、狭い道と相まって、当時の雰囲気を思わせてくれる。私好みの被写体も多く、ウハウハしながら撮影していたら、あっという間に120ロールフィルムを3本。替マガジンに残っていたカラーネガフィルムも使ったので、都合4本分撮影したが、まだ半分も歩いていないと思われる。

 今回はブロニカS2にご登場願った。まあ、気分であることが主な理由。で、この前買った150mmレンズでも、と思ったのだが、狭い道での撮影ということもあって、バッグの中で待機したまま撮影は終わってしまった。

 本当は街道筋の町並みも上手に撮影できると嬉しかったのだが、こういうのが私は下手で。35mmカメラならもうちょっとうまく表現できるだろうか、なんてことを思いながら、また来ることを固く決意して安中を後にした。

 やっぱり、中山道を撮影して歩くのはとても面白い。今のところ断片的な撮影に終始しているが、この前出逢った人のように、街道筋をずっと歩いていくのも面白いかもな...。